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 正札シール組合2019年度行事>2019通常総会講演会
 
 第2弾
 田中祐 全日本シール印刷協同組合連合会会長 講演A
   
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 我々を取り巻く環境ということでは、「ゆでガエル」発言から早1年、何が変わったか? 今日、僕、紙で配るのをあまり想定していなかったんですけども、配られちゃっているみたいですね。なので、結構アニメーションとかも使っているんですけども、手元と画面とを見比べながら、お話を聞いていただければいいかなと思います。
 まず最近の経済ニュース、幾つか取り上げました。5月8日、トヨタ自動車が連結決算で日本企業初の30兆円越えをしました。営業利益は3%増の2兆5500億円。まず30兆円という売上もすごいんですけども、2兆5500億円という利益もすごいですね。営業利益で2.5兆。2.5兆ってイメージつきます? これは次に出てくるんですけど、今、印刷産業全体の出荷額が5兆円を割っています。どういうことかというと、今の日本全国の印刷会社の出荷額の半分以上の利益をトヨタはたたき出しているということですね。逆に言うと、トヨタの利益の倍分ぐらいしか印刷のマーケットって今ないということですよ。売上と利益ですからこれはまたすごく大きな話で、そんなことがあります。
 米中通商摩擦というんですかね。関税引き上げ合戦をやっていますね。大変ですね。アップルの株が大暴落しました。中国から部品を買うのにも関税が掛かって、中国の市場で売るときもまた関税が掛かる。大変なことになっています。
 また、5月13日には景気動向指数の基調判断の引き下げということで、6年2カ月ぶりに景気が悪化したというふうに、今までの拡大基調がついに終わったんじゃないかというふうに言われています。
 これも余談なんですけども、ちょっとこの前見たネットのニュースで、この6年2カ月の景気拡大期に、実は日本の製造業は全く成長していなかったというような説が書かれていました。これはこの6年間の間に、それは確かに利益をたくさん出した企業さんも、製造業の会社さんも多数ありますけれども、実はそれは全部為替の差益と原油安の恩恵だったという話です。原油安と為替の差益で利益が出ていただけで、実は生産性はちっとも上がっていないし、製造業としての成長は止まっていたんじゃないかみたいなことが書かれていました。
 確かにそう言われてみると、うちの大手のお客さんも、為替の値動きというか、上下ですごい利益が出たりだとか、逆に利益が減ってしまったりだとか、為替だけで商売しているんじゃないかというようなところも中にはありますけれども、そんな状況であるということですね。
※グラフはクリックで拡大されます
 
 印刷業の出荷額の推移。これも今ちょっとトヨタのところで先にお話をしちゃいましたけれども、こんなグラフがあるんですね。こんなグラフがありまして、青の棒グラフが印刷産業の全出荷額だそうです。ピークは1991年に8.9兆円、約9兆円ですね。9兆円弱だったところが、そこを境に1度96年、97年辺りで盛り返してはいるんですが、その後また下がってきてしまって、今ここのグラフにあるのは2016年までの数字ですけれども、2016年で5兆2000億。今は2019年ですから、恐らくもう5兆円を割っているんじゃないかというふうに言われています。ピークで9兆円あったものが今5兆円ということで、約半分に減ってしまっている。
 さらに、ちょっと僕、興味本位で調べてみたんですけれども、日本の三大印刷会社さんありますね。大日本、凸版、共同印刷さん。そこの会社の決算を見てみたんですよ。そうしたら、そういう超大手の印刷会社さんは、今は印刷業じゃなくてエレクトロニクスだとかほかの分野で食っているというのもあるんですけれども、大日本さんの連結の売上が1.5兆円。凸版さんもいつもしのぎを削っていて大体同額、1.5兆円ぐらい。共同さんが1兆円。3社合わせて4兆円。印刷産業全体で5兆円。何が言いたいか分かりますよね。ただ、その1.5兆円のうちの印刷は、ここの出荷額に含まれているのが、恐らくそうは言っても大・凸とかの印刷の事業部だけだと信じたいんですけれども、ちょっと誰かその辺もし興味があったら調べていただきたいんですけれども、そんな状態なんです。印刷業そのものが。
 そうすると、やっぱりシールっておいしそうに見えるわけですよね。シールは、なぜなら一応データ上は横ばいだから。貼る相手がある限り、シールはまだ需要がありますよということが言われていまして、これは『ラベル新聞』さんからデータをちょうだいしているんですけれども、また今年の1月もこのお話はさせていただいたんですが、ラベルの種類別の生産高、ほぼ出荷高と一緒と見てもいいんですけども、少しずつ伸びているように見えます。ただ、粘着はほぼ横ばいで、シュリンクやインモールドが徐々に増えていると。
 なおかつ、粘着のラベルの用途も中が今変わってきていまして、これは1月のお話の繰り返しになるんですけども、粘着ラベルの約半分を可変情報ラベルが占めていて、その比率は年々拡大していると。
 ですので、ここにいらっしゃる方の大部分、組合員の皆さん大部分がそうだと思うんですけれども、いわゆる従来型の平圧や間欠の印刷機で刷るシールというのは、こうやって見るとどんどん減っているはずなんですよ。可変情報のサーマルラベルがどんどん増えていって、トータルではとんとんということは、その分、浸食されているということですよね。
 そういう状況であるということが分かってはいるんだけれども、ただ経営者の皆さんは、「後継者問題のため」とここに書きましたけど、やっぱり先行き不透明な時代に今設備投資していいのかだとか、自分は結構なご年齢になったので、後継者のことを考えたときに、息子に多額の借金を背負わせてまで機械を買っていいのかだとか、どうしてもそういうことが頭の中に浮かんでしまうのか、新型の印刷機の導入にはあまり積極的ではないというふうに思います。だからアウトサイダーというか、我々、組合員以外のところがデジタルの機械をばんばん買っているんですよね。今はこんな状況。
 そんな状況を踏まえた上で、だからといって、もう仕方ないよねと。我々はこのまま時代の波にもまれて、徐々に徐々に衰退していくのというのを、それを指をくわえて見ているわけにもいかないじゃないですか。皆さん自身の生活もありますし、それ以上に皆さんが抱えていらっしゃる従業員の皆さんの生活も懸かっているわけですから、会社として存続をしていかなきゃいけない。会社として存続をしていくためには、利益を出し続けなければいけない。その利益の出し方について、後半ちょっとお話をさせていただきたいと思います。
 
 
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