東京都正札シール印刷協同組合青年部
2月勉強会
2月23日(金)PM7:00より、東京正札シール印刷会館1F会議室において勉強会を開催致しました。
テーマは「化学物質管理促進法の理解と適用」です。
講師に大日本インキ化学工業株式会社から、
蕨工場
環境安全品質部 品質保証担当課長 日隈 輝男 氏
蕨工場 タック技術本部 粘着加工材技術G グループマネージャー 安澤
隆 氏
小牧工場 タック技術本部 粘着加工材技術G 主任研究員 向後 勇一 氏
タック事業部 東京タック第2営業部 印刷用第1担当課長 船生 友行 氏
タック事業部 東京タック第2営業部 印刷用第1担当 古田 昌作 氏
以上5名の方々に御足労願いました。
まず最初に今月の担当幹事である(株)シール堂印刷の下山さんの開会挨拶で始まりました。
「本日はお忙しいところご参集いただき、誠にありがとうございます。
昨今注目されている環境問題への業界の対応について、セパレータ等のへの注目が集まる一方、私たちにとって身近であるインキやその他材料について化学物質としての扱いや意識については比較的注目が集まっていないと思います。
実際私の会社でもインキなどの管理は恥ずかしながら決して充分なものではなく、現状を把握できているとは言えません。
今回のテーマである化学物質管理促進法は私たちの業界にとってすぐに実務的な対応を迫られていると思わない方も多いと思いますが、今回講義をご用意いただいた大日本インキ化学工業様などがどのように取り組まれているかといったお話を伺うことで少しでも私どもの身の回りにある化学物質に眼を向ける機会になればいいと思います。」
第一部「化学物質管理促進法への対応手順の概要」
日隈氏よりレジュメを用いて化学物質管理促進法の概要を講義して頂きました。
概要は以下の通りです。
・化学物質管理促進法の特徴・法律の目的・概要 | ・対象化学物質・その検討手順 |
地球環境保護を目的とした国際的な運動に対応 規制ではなく自主管理に主眼 PRTR(排出量届出)およびMSDS(データシート交付)の2制度 |
把握する手順・範囲・語彙定義を説明 |
・排出量・移動量算定の方法 | |
事例として塗装工程における算出を説明 |
・裾ぎりについて・製品の要件・施行期日 | ・MSDSの対象法令 |
企業単位に規模と排出量の2点から裾ぎりされ、また製品の要件としてもタック材は除外される ことからほとんどのシール・ラベル印刷業者はPRTRの2001年施行の対象者に該当しないと考えられる。 |
化学物質管理促進法以外に労働安全衛生法および、毒物及び劇物取締法の観点からMSDSの意義を説明 |
・大日本インキ化学工業におけるMSDS運用 |
提出例(タック材・インキ)を用いて説明 |
休憩の後、質疑応答を行ないました。(回答は日隈氏・安澤氏・向後氏)
Q : 顧客から印刷したラベルについてのMSDS作成依頼があった場合にどう対処すれば良いか?
A : 現在は各メーカーに直接問い合わせて、作成してもらうしかない。フォーマットは顧客の求める形式にあわせて作成することは可能。
Q : 顧客特に食品・化粧品・弱電メーカ等からMSDSの提出を求められることがあるが、MSDSの危険有害性について「知見なし」という記述は顧客を不安にさせるのでは?
A : 化学物質の毒性(有害性)についての試験は現在は各企業でおこなえるレベルのものではなく、国がおこなっており、その結果を受けて記載している。
Q : MSDSにある化学物質の含有量についての記載等が詳細でないためわかりにくいのでは?
A : 詳細を公表すればその製品の組成が詳細にわかってしまうため。また、大日本インキ化学工業の製品については現在は製品シリーズ毎にMSDSが作成されているため。今後製品個別に作成されていく方向にはある。ただし、現在大日本インキ化学工業が出荷している製品についてはPRTRによる届出が必要になるものは無いと考えて良い。
Q : PRTRは自主的な届け出のため虚偽の報告もあるのではないか?他社はどのように対応しているのか?
A : それは考えにくい。化学物質を扱っている企業はその排出量管理については事業所周辺住民への配慮などを考慮し非常に重要であるとして各社真摯に対処していると思う。
第二部「新製品説明」
向後氏より最新上市の製品の特徴を説明して頂きました。
(1)
エマルジョン粘着剤を塗布したユポ製品
オレイン系フィルムへの接着性向上、低温接着性・結露面適性を向上、ポリラミの無いセパレータによってラベラー適性を向上
(2) 軽量化素材:発泡PET
軽量化とクッション性を実現
(3) 静電気抑制素材
静電気を抑制するラミネートによってホコリ付着を改善、静電気を抑制するセパレータによって作業性向上
最後に下山さんから閉会の挨拶です。
「PRTRの施行に実務的に関わりの無いことが分かりましたが、その一方で私達の業務は化学物質を取り扱っている事にはかわり無く、また日本の場合、製造業の多くを中小企業が占めていることからも、私達も前向きに化学物質管理に取り組む必要があるのではないか?
今回この制度や大手企業である大日本インキ化学工業様の取り組みを知ることによって、このテーマが私達それぞれの企業の取り組みにつながってもらえれば幸甚です。」
幹事:下山
参加者:(順不同)
鎌田・臼井・松村・伊藤・清水
福田・生沼・大野・佐村・松田
(以下一部敬称略・一部省略)